導入背景・課題
JCCのHybridcast提案が きっかけとなり、テレビを使った 買い物支援を検討
伊那ケーブルテレビジョン株式会社(以下同社)は、長野県南部の伊那市・箕輪町・南箕輪村の3市町村で、ケーブルテレビ事業をメインに、インターネットや固定電話、MVNO、電気といったサービスを多角的に展開している会社である。同社は『地域から必要とされ、頼られ、期待されるケーブルテレビ局を目指します』という経営方針を掲げており、今回取材した『ICTライフサポート・チャンネル(以下、本サービス)』導入をはじめ、地域に根差した先進的な取り組みを行っている。
今回の取り組みについて、常務取締役 伊藤 秀男氏は「今回の『ICTライフサポート・チャンネル』導入は、経営方針にまさに合致した取り組みだと思う。今後も期待されて、頼られて、痒いところに手の届くケーブルテレビ局でありたい」と語っている。
2018年から本サービスの実証実験を開始し、2020年に本運用開始を迎えている同社だが、実証実験当時、伊那市の買い物弱者に対して課題を感じていたそうだ。当時について、放送部放送部長 平山 直子 氏は「業務の中で買い物弱者がテーマの番組を作った際、玄関に出ていくことも難しく、サポートするボランティアの方も高齢になっているという伊那市の状況を見た。また、伊那市の社会福祉協議会で行ったアンケートでは、高齢者の4人に1人は買い物に行くのに困っているという深刻なデータが出ており、この深刻な状況について、検討するなら今だと感じていた」と語った。
また、同社は2018年、ジャパンケーブルキャスト(以下JCC)が提供するコミュニティチャンネル向けデータ放送サービス『JC-data』を導入しており、その際、JCCから「Hybridcast※対応テレビを使うことで、双方向でのサービスが可能になる」という説明を受けた。 この説明から平山氏は「地元住民の買い物をすることが困難な方へテレビを使って支援ができるのではないか」というアイディアを思いつき、社会福祉協議会へ相談したそうだ。
伊那市の公募へ 参画したことにより、 本サービスの検討が開始
一方、同時期に長野県伊那市(以下、伊那市)では、ICT技術を活用し、地域課題を解決する取り組みの公募を開始していた。社会福祉協議会への相談がきっかけとなり、その取り組みの1つであるドローン物流事業参画へお声がけがあり、参画することが決まったという。「伊那市の公募に対し、ドローン物流事業で「テレビで買い物」を提案してみないか、ということでKDDI株式会社(以下KDDI)からお誘いを受けた。買い物弱者をサポートしようという動きが伊那市に出ていた中で、これはチャンスだと思い、参画しようと思った」と平山氏はつづけた。 また、この「テレビで買い物」がきっかけとなり、テレビを入り口として、高齢者や障がい者を含むすべての地域住民のライフサポートを支援できる『ICTライフサポート・チャンネル』としての検討が始まったようだ。