ジャパンケーブルキャスト株式会社

CASE STUDY 導入事例

Hybridcast導入事例 エルシーブイ株式会社様

Hybridcastを活用し、視聴者・クライアント・会社
すべてにメリットがある新たなサービスに挑戦

課題
放送で新たな収益が見込めるサービスを考えたいと思っていた
視聴者の満足度向上と解約を防止するために、新たなコミュニティチャンネルの使い方を提案する必要があった
導入効果
見逃し配信として『Hybridcast VOD』を活用することで、コミュニティチャンネルの接触率の増加につながった
普段接点のないクライアントからも『テレビde チラシ』の問い合わせが来るようになり、営業活動の幅が広がった
『Hybridcast』を活用することで、暮らしを便利にする新サービスを検討するための足がかりとなった

導入背景・課題

新たな収益を見込める サービスを検討すべく、 社内プロジェクトを開始

放送制作部 部長 八幡 聡 氏
放送制作部 部長 八幡 聡 氏

エルシーブイ株式会社(以下同社)は、TOKAIグループの一員として、長野県諏訪エリアを中心に、ケーブルテレビ事業や情報通信サービスを展開している会社である。同社の目指す姿について、放送制作部 部長 八幡 聡氏は、「地域密着型の会社として地域の人々の生活を守り、インフラとしてなくてはならない会社にしていきたい」と語っている。

2012年から、ジャパンケーブルキャスト(以下JCC)が提供するコミュニティチャンネル向けデータ放送サービス『JC-data』を導入している同社だが、データ放送で新たな収益が見込めるサービスを検討すべく、社内プロジェクトを立ち上げ、八幡氏を中心に検討を行ったという。当時について、八幡氏は「もっとコミュニティチャンネルを見ていただくためには、新たなテレビの使い方を提案していかなければならないと思っていた。放送で何かサービスを考えたいと思っていた中で、以前からHybridcast※1という技術の存在を知っていたので、Hybridcastを使えば何か面白いことができるのではないかと思い、検討を行った」と語る。「Hybridcast導入により、当社のインターネットへの加入やSTBの販売促進にもつながると思った。Hybridcastは仕組みなので、どのようなサービスを提供すれば視聴者に使ってもらえるのか、売上に結び付くのかを0から検討したので苦労した」と続けた。

JCCのお試しキャンペーンが きっかけとなり、 『Hybridcast VOD』導入を開始

プロジェクト初期段階で、同社はチラシやVOD※2、ショッピング、ポータルサイト等、かなりの数のサービスを検討していたという。その中で、JCCが先行して『Hybridcast VOD』サービスを提供しており、掲載コンテンツも容易に準備できることから、導入に至ったそうだ。同社は2ヶ月間のお試しキャンペーンを経て、現在も継続して『Hybridcast VOD』を利用している。「VODをちょうど検討しているときにJCCからお試しキャンペーンの提案があり、比較的安価に試すことができたのがよかった。実際に動くものを見せられたので、本導入の際も、社内や視聴者に説明がしやすかった」と八幡氏はいう。

Hybridcastで 『チラシ』を復活させたい という想いから、 『テレビdeチラシ』導入を開始

一方、『テレビdeチラシ』導入検討時について、八幡氏は「広告チラシやカタログのようなものがテレビで見られないかというアイディアがあった。以前もJCCにお願いし、データ放送で広告チラシを提供していたが、仕様上画質が低かったため、サービスが長続きしなかったしたことがあった。Hybridcastであればきれいに画像が表示され、以前のサービス提供時と比べてテレビの画面も大きくなっているので、もう一度復活させたいと思っていた」と語る。「『テレビdeチラシ』を活用すれば、視聴者としてはチラシがいつでも好きな時に見られ、クライアントもタイムリーに広告できる。会社としては収益になり、新しいテレビの使い方につながると思った」と続けた。


導入の流れ

「御柱祭」までに 『Hybridcast VOD』を 知っていただけるよう、 1年前から運用を開始

『Hybridcast VOD』は既にJCCがサービスとして提供しており、同社が導入する時点ですぐに利用できる状態が整っていた。そのため、6年に1度、長野県諏訪大社で行われる大きなお祭り「御柱祭」を配信できるよう、配信の1年前からトライアル運用を開始。視聴者には『Hybridcast VOD』を見ていただきながら、知っていただけるようにした。運用開始時、コンテンツの登録作業は非常に苦労した点だという。「コンテンツをどの形式で変換すればデータが軽く、かつきれいに表示されるかなど、試行錯誤した。また、長時間のコンテンツより比較的短いコンテンツの方が見られることがわかり、どのようなコンテンツをあげたら視聴者に見ていただけるかを模索していた」と八幡氏はいう。


1から仕様を決めていき、 二人三脚で 『テレビdeチラシ』 サービスを具現化

一方、『テレビdeチラシ』はJCCとしても初めて導入するサービスであったため、細かく会議やメール等でやりとりを行いつつ、1から仕様を決めていったそうだ。「仕様検討の段階では2週間に1回は打合せを行い、一緒に提案を出しながら二人三脚で開発を行った。1から要望を聞いていただき、期待以上の解決方法を提案して下さったので、非常に助かった」と八幡氏はいう。仕様検討の中で、コンテンツのアップロード形式は工夫した点の1つであるとのこと。「業務でも外部とのやりとりで普段使用しているPDFであれば、そのまま載せられるため、PDFは必須とした」と続けた。

操作性に加え、 視聴者とクライアント 双方を意識した 画面表示を考慮

テレビdeチラシの画面
テレビdeチラシの画面

また、導入時、操作性については非常に意識した点だという。「リモコンだけでの操作になるので、拡大やページ送りなど、操作性についてはかなりJCCに相談した。ケーブルテレビ利用者は年配の方も多いので、年配の方が使えるよう意識した」と八幡氏はいう。導入時の検討により、操作性は以前のチラシ導入時と比較し、格段によくなったそうだ。

また、収益を上げるという点で、クライアントにメリットがあるよう、画面表示についても考慮したとのこと。「広告は露出をしないと目的のページに行ってもらえない。JCCに表示について相談し、Hybridcast対応でネットにつながっているテレビでは、コミュニティチャンネルを立ち上げるとバナーが出るように作っていただいた」と続けた。


導入効果

『Hybridcast VOD』を 見逃し配信として 活用することで、 コミュニティチャンネルの 接触率が増加

Hybridacast VOD 動作確認風景
Hybridcast VODの動作確認風景

現在『Hybridcast VOD』は、レギュラー番組やニュースの見逃し配信をメインとして活用しているとのこと。 放送終了後、各番組のディレクターがコンテンツのアップロードを行い、編成課が動作確認をすることで、運用を行っているそうだ。放送制作部 編成課 國枝 志保氏は「番組を見逃した方から再放送の問い合わせはよくある。以前は再放送がある場合は告知をしていたが、Hybridcastがご自宅で見られる環境にあれば、『Hybridcast VOD』のご案内もできるようになった。決まった時間にテレビを見る方も多いが、いつでも見られることはメリットとして大きい」と語る。「顧客の囲い込みという点でも、放送以外の好きな時間にコミュニティチャンネルを見ていただけるのはメリットだ。」と八幡氏は続けた。

『Hybridcast VOD』運用開始時、同社は番組ガイド誌や地元の新聞に掲載した他、コミュニティチャンネルの番組宣伝CMでの告知を行ったそうだ。告知により、視聴方法についての問い合わせもあったという。「Hybridcastという言葉が浸透しておらず、まだまだ周知の段階だが、接触率が徐々にあがっており、コミュニティチャンネルが見られている感覚はある。」と八幡氏はいう。

『テレビdeチラシ』 導入により、 クライアントからの 問い合わせが増加

テレビdeチラシの広報チラシ
テレビdeチラシの 広報チラシ
(左)視聴者向け (右)クライアント向け

一方『テレビdeチラシ』は、営業の観点で、出稿いただいた広告とセットの付加サービスの提案として主に活用しているとのこと。運用開始時は、クライアントにDMを発送するほか、視聴者向け情報誌への掲載を行うことで、双方に対してプロモーションを行ったそうだ。特にクライアントに対しては、採用の敷居を低くするため、導入初期はPRとして1ヶ月無料キャンペーンを行ったという。

同社は『テレビdeチラシ』をスタンダードプラン、プレミアムプランの2パターンで、クリック課金制で提供しており、特にスタンダードプランは初期手数料500円、チラシの登録作業を同社で行う運用としているそうだ。その手軽さもあり、クライアントからの問い合わせは多いが、採用という点では苦戦しているようだ。営業部 法人営業課 田中 高代氏は「どういうふうに広告を出したらいいか悩んでいるクライアントからの問い合わせはとても多いが、説明を行う前に、Hybridcastが見られないという理由で導入がペンディングなることも多い。実際に訪問をするとHybridcastが使えることが意外とあるが、Hybridcastがわからない人が多いため、説明に時間がかかり、苦労している。一方で、チラシの取り込みをできない小さな商店から、テレビでチラシが見せられるのはいいねという声もいただいており、需要はあると感じている」と語る。「Hybridcast自体が周知の段階のため、なかなか当初の収益計画どおりには進んでいない。現在も模索している状況だ」と八幡氏が続けた。今後も採用拡大のため、同社はPR活動を予定しているそうだ。

普段接触のない クライアントからの 反響も

『テレビdeチラシ』は現在、田中氏を含めた5名で運用しているが、営業活動では普段あまり接触のないクライアントからの反響もあったという。「営業かけないようなジャンルのお客様からも反響があり、営業の新たな幅が広がった。今までになかったサービスなので、エルシーブイでそんなことができるんだ、と新鮮に感じて下さるお客様がとても多いと感じている」と田中氏はいう。「諏訪は小さいクライアントが多いので、チラシの出し方がわからなかったり、テレビCMや新聞折り込みチラシに費用をかけられなかったりするクライアントに対し、ワンコインで提供できるのはいい。クライアント数が増えて有益な情報が増えてくると、もっと見てもらえるようになると思うので、何とか軌道にのせたい」と八幡氏が続けた。


今後の展望

『Hybridcast VOD』 新バージョンを活用し新たなコンテンツを掲載

Hybridcast VOD 新バージョン画面
Hybridcast VOD 新バージョン画面

現在、同社が利用している『Hybridcast VOD』について、同社を含めた複数のケーブルテレビ局から、ジャンル分けや並び替え機能などの追加要望があったようだ。その要望を取り入れ、さらに使いやすいサービスとしてJCCが新バージョンを開発。同社は2023年4月頃、新バージョンを導入予定とのこと。「現在は、多くのコンテンツをアップロードすると探すのが難しいため、コンテンツを絞って公開している。新しいUIではコンテンツが探しやすくなるので、今後は過去のコンテンツの掲載も検討したい」と八幡氏はいった。

『Hybridcast』で 暮らしが便利に なるような、 新たなサービスを 展開

左から八幡氏、國枝氏、田中氏
左から八幡氏、國枝氏、田中氏

同社は『Hybridcast VOD』と『テレビdeチラシ』を皮切りに、今後もHybridcastを活用して新たなサービス展開を検討しているようだ。「これからHybridcast対応テレビがどんどん増え、普及していく時代になれば、一気に色々なサービスをのせていくことができると思う。買い物やタクシー、回覧板等、暮らしが便利になるようなサービスを、スマートフォンやパソコンではなく『テレビ』で提供していくことで、エルシーブイに入っていて便利でよかったという風に思っていただきたい」と八幡氏はいう。

また、同社は現在、第一コミュニティチャンネル(12ch)にのみデータ放送を導入しているが、今後はすべてのコミュニティチャンネルにデータ放送を導入し、Hybridcastが活用できる形にしていきたいとのこと。

最後にJCCに期待することについて、八幡氏は「これまでもユーザーミーティングやWebセミナー等で、他ケーブルテレビ局様が導入しているサービスを共有いただいていた。それがきっかけとなり、現在のHybridcast活用のアイディアがある。今後も他ケーブルテレビ局様の色々な情報をいただきながら、新しいサービスを一緒に作っていけたらいいと思う」と続けた。


INTERVIEW
放送制作部 部長 八幡 聡 様
放送制作部 編成課 國枝 志保 様
営業部 法人営業課 田中 高代 様
PROFILE
エルシーブイ株式会社
〒392-8609 長野県諏訪市四賀821番地

※2023年2月時点の情報です。