株式会社JWAY(以下「同社」)は、2005年茨城県日立市での開局後、日立市、東海村、ひたちなか市全域で、ケーブルテレビ・インターネット・電話サービスを軸に事業展開している会社である。2023年にはMVNO※1サービスの提供も開始。「地域に役立つ会社」「地域になくてはならない会社」を目指し、地元ならではの地域情報と安心を提供している。
同社の独自サービスとして、データ放送を活用し多チャンネルのコース移行を促す「ご案内チャンネル」や、自社運営のコールセンター等を活用した契約後の手厚いサポートがある。また、ここ数年では、地元のイベントの回線周りをサポートする等、自治体や地元企業と連携したサービスにも力を入れているようだ。
同社は2018年からFTTH※2化を進めており、2018年に東海村、2019年にひたちなか市とのエリア拡張を行うなかで、2020年にジャパンケーブルキャスト株式会社(以下「JCC」)が提供するACAS配信サービス(以下ACAS配信)を導入している。
ACAS導入事例 株式会社JWAY様
サービス品質維持を1番に考えた、早期のACAS導入
- 導入背景
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FTTH化を進める中、サービスエリア拡大に伴う将来的なSTBの交換等の費用負担を考え、早期からACAS導入を検討していた
- 導入効果
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運用面で想定していたリスクやトラブルは起こらず、トータルで現場負荷の軽減ができた早期に開始したことにより、投資の見通しが立てやすかった空いた周波数を新たなサービスに活用できるようになった
導入背景
サービスエリア拡張に伴う加入者増加の状況を鑑み、 早期のACAS配信導入が必要と判断
同社がACAS配信の検討を開始した2020年の段階では、業界内でもACAS配信を開始するケーブルテレビ事業者が少なく、様々な情報収集を行う必要があった。さらにC-CAS対応STBの販売終了の決定もあったため、今後の新規加入者に対するACAS対応STBの確保も必要であった。
早期のACAS配信開始に踏み切った理由として、菊池氏は、「サービスエリア拡張を進める中、新規加入者のC-CAS対応STBからACAS対応STBへの交換費用を考え、早期にACAS配信の導入に踏み切った。あわせて加入者管理システムであるSMS※3の改修も頻繁に行っていたので、同時に対応することで改修の費用も抑えることが可能になると考えた」と言い、関氏が、「お客様の交換対応が一度で済むように、FTTH化と同時にACAS配信の導入を進めた」と続けた。
サービス品質の維持を重視し、 JCC独自の運用方式を採用
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JCCのACAS配信の特長として、JCC独自のトランスモジュレーション方式※4(以下「トラモジ方式」)での運用が可能な点がある。トラモジ方式は暗号化された映像信号や音声信号に加え、番組情報(SI/EPGデータおよびロゴデータ)を混合した信号の提供が可能になる。さらにC-CAS配信において長年の提供実績があり、サービスID等はC-CAS配信を踏襲しており互換性があるため、トラモジ方式の運用を行うことで、ケーブルテレビ事業者側では番組情報の生成が不要となり、設備面・運用面でより効率的に運用することができる。
また、JCCが運用しているCAS※5管理システム「JCMS」を活用することで、同社が運営するSMS と新CAS協議会※6が運営するEMM※7暗号化設備間のスムーズな連携も可能となる。
今回、JCCのトラモジ方式での運用を選定した理由について、菊池氏は「技術面、設備の運用などトータルで検討したうえで、JCCにお願いしたほうがサービスの品質維持の点で良いと考え、社内ではJCCを推薦した。SMS連携を統一することにより、一気通貫でトラブルを解決できる点が選定理由としては大きい」と言った。
【JCCの運用パターン】
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導入効果
ACAS導入後も運用はほとんど変わらず、トータルで現場負荷が軽減
開始前に懸念していたリスクについて、菊池氏は「運用はほとんど変わらなかったので、現場の混乱もなく、想定していたリスクもトラブルもなかった。サイマルクリプト方式※8と並行で運用していたこともあり、C-CASが使えるという安心もあった。リスクが少ないことを重視してJCCを選んだが、その通りになった。早期開始したからこそ、JCCと二人三脚で導入ができた」と言った。また、関氏が「B-CASの購入や在庫管理の手間もなくなった。トータルで考えたら管理は楽になった」と続けた。
切替に関わる投資の見通しが立てやすくなり、空いた周波数も新たに活用できるように

また、C-CAS配信の終了時期が近づいてくる中で、着実にACAS切替を進めることで、STB交換に関わるコスト分散ができたという。関氏は「ACAS化は必須と考えていたので、長期的な費用を計算でき、早めの投資の見通しが立てやすかった」と言った。
さらに、同社はACAS導入を早期に始めたことで、C-CAS配信で使用していた周波数帯域に空きが生まれたという。周波数を多く使用している同社としては、周波数の空きを活かしたサービスの提供も狙っているようだ。
今後の課題・展望
2030年の完全移行に向けたSTBの対応を検討
ACAS対応STBの移行状況について菊池氏は「2021年4月から現在までに6,000台。そのうち4,000台は新規加入、2,000台はFTTH化に合わせ交換した。今後は要望がある場合は即時対応を行い、他も順次交換を予定している」という。今後、2030年までに完全移行を予定しているそうだ。
一方で、近年の物価高の影響もあり、今後のSTB購入については課題となっているようだ。「確保していたSTBの台数がなくなる中、来年はSTBの値上がりもある。まとまった台数を契約するのは厳しく、コストをどう調整するかが課題である」と関氏は言った。

最後に、JCCに期待することについて、菊池氏は「データ放送や、えんてれサービスをはじめ、行政への提案など、理念を目指すうえで、JCCは非常にありがたい存在。今回のACAS導入についても、一緒に動いて行っていったという印象が強い。引き続き地域・メディアの魅力を上げるパートナーでいてほしい」と言った。関氏は「最初のACAS選定基準として、どこまで24時間365日により近い対応してくれるのか、という点も重視していた。運用面ではこれまで通りよい連携をお願いしたい。そして10年後、20年後の将来、他のサービスや別の仕組みなども検討し、示していってほしい」と続けた。
- INTERVIEW
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取締役 事業本部長 菊池 賢一 様制作部長 兼 企画室長 関 一敬 様
- PROFILE
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株式会社JWAY〒317-0073 茨城県日立市幸町1-19-1
※2024年12月時点の情報です。