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CASE STUDY 導入事例

地域・防災DXサービス導入事例 北海道むかわ町様

テレビが全町共通の情報配信ツールとなり、町民とのコミュニケーションが活性化
平時・有事ともに安心して暮らせる町へ

課題
全町民に対する情報伝達が課題となっていた
情報伝達手段の多重化が課題となっていた
多重化に係る職員の運用負荷の増大が懸念事項となっていた
導入効果
一つのシステム入力で複数の端末に情報配信ができるようになった
テレビ配信を起点とし、町民とのコミュニケーションが活発化した
平時・有事共に全町共通で使えるシステムが増えた

導入背景・課題

全町民に対する 情報伝達手段を検討

一級河川「鵡川」
一級河川「鵡川」

北海道むかわ町(以下同町)は、道央圏の南方に位置し、札幌市や空の玄関である新千歳空港、海の玄関である苫小牧市にも近く、日高・十勝方面への交通の要衝にある人口約7,500人のまちである。 胆振管内で最も大きい面積(711.36k㎡)を有し、全国でも屈指の清流度を誇る一級河川「鵡川」が南北に縦走しており、豊かな自然環境がつくりだす地域ブランド「鵡川ししゃも」「ほべつメロン」をはじめとする品質の高い食材が多くあり、自然や食を活かしたイベントも四季折々で開催される。
一方、まちづくりにおいては、まちの将来像を「人とつながる、笑顔でつながる、未来につながるまち むかわ」とし、各種施策に取り組むとともに、世界的な注目を集めている貴重な恐竜化石を活用したまちづくりにも力をいれている。

同町は2006年に旧鵡川町と旧穂別町が合併してできた町であり、鵡川地区は海沿いで平地が多い一方で、穂別地区は山間部が多いという土地の性質上、両地区で情報伝達手段が異なっている。2008年以降、鵡川地区は屋外スピーカー、穂別地区は情報告知端末を用いて情報伝達を行っていたが、情報告知端末の老朽化に加え、2018年の北海道胆振東部地震の災禍が重なり、新たな情報伝達手段の早急な検討を必要としていた。その対策とし2020年から21年にかけて、穂別地区にジャパンケーブルキャスト株式会社(以下JCC)と京セラみらいエンビジョン株式会社(KCME)が共同開発を行うIP告知端末、同町全域にJCCが提供するスマートフォン向け地域・防災アプリ『JC-Smart』を導入。総務財政課 課長 石川 英毅氏は「全町共通で使えるシステムとして『JC-Smart』を導入したが、スマートフォンを持たない方、不慣れな方に対する情報発信が課題だった」という。

JCCからの「テレビを活用した自治体情報配信システム」提案がきっかけとなり、システム導入を検討

総務財政課 課長 石川 英毅 氏
総務財政課 課長 石川 英毅 氏

そのような中、2021年に北海道喜茂別町で実証実験を行っていた、JCCと北海道テレビ放送株式会社(以下HTB)が共同で開発を行う、「テレビを活用した自治体情報配信システム」(以下「本システム」)をJCCから紹介されたことが、導入のきっかけとなったそうだ。
JCCからの提案について、石川氏は「以前他局のデータ放送を活用し、文字放送での情報提供を行っていたが、それぞれの端末への情報入力が必要であり、運用の負担が大きかった。最初に提案を聞いた時、『データ放送を使うなら当時と同じ状況になるのでは』と思ったが、喜茂別町の実証実験のお話を聞き、『このシステムなら事務の効率化をしつつ、現在町で配信している情報をテレビでもお届けできそう』と、考え方が大きく変わった」と語った。さらに、「高齢者はテレビが好きで、テレビのリモコンに慣れているので、テレビはすごくいいアイテムになると思った」と続けた。


情報伝達手段の多重化に期待、大画面であることも導入のポイントに

本システム導入にあたり、石川氏は、「情報発信の多重化を一番期待していた。テレビはほぼどの家庭にもあるため、有効に町の情報を出せると思った」という。また、「スマートフォンやIP告知端末は画面が少し小さい。テレビだと大画面で情報が得られる点も、導入のポイントとなった」と続けた。


導入の流れ

議員や町民への丁寧な説明により、 導入を開始

導入検討時、前例のないシステムであったため、議会への説明には苦労したようだ。石川氏は「以前の文字放送とは違うことを理解していただくのに一番苦労した。実際にデモ画面を町長や副町長、教育長に見ていただき、良いと思っていただくまで時間がかかった」という。
また、同時期に町長の改選時期が重なったこともあり、施政方針に本システムについて盛り込み、議員や町民へ情報発信もしたそうだ。石川氏をはじめ関係者の丁寧な説明により、本システムの導入に至ったようだ。


端末ごとのコンテンツ出し分けを試行錯誤し、 最適な見え方を検討

穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主幹 伏木 允一 氏
穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主幹 伏木 允一 氏

同町はJCCと月に1回、多い時は週に1回、テレビ会議等も使いながら何度も打合せを行い、仕様を固めていった。JCCについて、石川氏は「以前の導入の際、JCCの担当者が町に住んで開発を行っていたため、地域の実情や状況を充分に理解していた」という。

開発時、端末ごとの配信コンテンツの出し分けを、特に意識しながら検討を進めたようだ。穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主幹 伏木 允一氏は、「端末毎の文字や画像の大きさが適切か、確認しながら進めた部分は苦労した。また、情報を端末毎に分けて配信する場面もあるため、慣れるのに時間がかかった」という。




穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主査 原口 毅 氏
穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主査 原口 毅 氏

また、同グループ 主査 原口 毅氏は、「Hybridcastはインターネット接続が前提になるため、Hybridcast非対応のテレビやインターネット接続がないデータ放送画面で見た時も内容がわかるよう、画像と同様の内容をテキストでも流すようにした。SNS連携時の見え方の調整も苦労した」と続けた。


導入効果

一つのシステム入力で 複数端末に情報が流せるように

同町は2023年4月から、本システムの運用を開始。運用開始時から、折り込みチラシでの広報に加え、防災イベント、お祭り等に専用ブースを設置し、JCCと協力しながら、継続的に町民へのPRを行っている。また、役場の職員への周知活動も継続して取り組んでいるようだ。伏木氏は、「鵡川地区のイベント時等に各担当に呼びかけをしている。今では職員から、情報配信の依頼が来るようになった」という。

情報入力作業風景
情報入力作業風景

現在の運用は、原口氏とむかわ総合サービス株式会社 主任技術員 三幣 智允氏を中心とし、本庁1名、支所2名の3名体制で行っている。運用について伏木氏は、「限られた職員数で、一つのシステム入力で複数端末に情報を流せることが非常に良い」という。

本システムはクラウド型のため、インターネット接続があれば、場所を選ばず入力が可能である。原口氏は「病院や図書館等、毎月入力がある施設の担当者には操作方法を教え、直接発信できるようにしている。緊急時には自宅からの入力も行うこともある」という。

テレビ配信を起点とし、 町民とのコミュニケーションが活発化

むかわ町専用のHybridcastトップ画面
むかわ町専用の Hybridcast トップ画面

同町では、本システムを活用し、行政情報や防災情報、イベント情報等を町民に提供している。具体的には、熊の出没情報、食中毒警報、熱中症アラート等の緊急アラートの他、病院や町の施設案内、Jアラート、ワクチン接種情報等も提供しているそうだ。
町民の利用状況について、原口氏は「定点カメラや、ゴミ出し等の行政情報をよく見ていると聞く。特に定点カメラは、川の情報が上流から下流まで一通り見られるのがとても良く、いつも雨が降ったときにみているという声があった。また2023年は熊の出没情報が多いため、『情報を見ている』という町民の声や、逆にテレビをみて、『ここにも熊が出ている』という情報もいただくことがある」と語る。「鵡川地区の方とお話しした際、バスの時刻表や診療情報等をみていると言っていた。『今はテレビで見るだけだが、将来的にはバスやワクチン接種の予約がテレビからできる双方向の機能があれば、もっと便利だ』というお話もあった」と石川氏が続けた。

全町共通で使えるシステムにより、災害時への効果も期待

情報の多重化について、石川氏は、「鵡川地区と穂別地区で共通の情報が見られるのは非常に良い。屋外スピーカーだと、住宅の気密性が高く何を言っているかわからないことが多かったが、『JC-Smart』とテレビの両方があることによって、確認できるツールが増えた。特に鵡川地区では、大画面での確認ができ非常に喜ばれている」と語った。また、伏木氏は「現在は日常の情報伝達手段として用いているが、災害時にはかなりの効果が出ると考えている。一つでも多くのツールを使えるということはとても大きい」と続けた。


今後の展望

緊急情報配信手段としての期待

今後の展望について、伏木氏は「テレビは自分から情報を得る必要があるため、緊急情報をプッシュ式で出せるのは『JC-Smart』のいい所である。同様の機能がテレビにもあると、もっと安心できる」という。また、石川氏は、「今後穂別地区のIP告知端末機器更新の際、将来的には更新機器を減らし、町の負担を軽減したいと考えている。そのためにもプッシュ通知の仕組みの整備や、町民への周知活動により、町民にもっと利用されるようにしていきたい」と続けた。

町民が継続して利用するための 新たな機能拡張

左から三幣氏、原口氏、石川氏、伏木氏
左から三幣氏、 原口氏、 石川氏、 伏木氏

現在、JCCとHTBは、インターネット接続があればHybridcast非対応のテレビでもHybridcastと同様の画面を確認できる『一次リンク』機能を開発中である。原口氏は「『一次リンク』の機能がリリースされれば、さらに便利になる。合わせて、トップ画面の改修や町民の利用頻度の確認、双方向の機能等、町民に飽きられないための新たな機能拡張があると更に良い」といった。

最後にJCCに期待することについて、伏木氏は「前回の導入時と同様、地域課題や行政課題に対してゼロから一緒に仕組みをつくり、オリジナルのものができたことが、あえて行政に関連のない業態の会社に依頼して良かった点だと考えている。一緒に仕組みを作ることで、町民に説明する際もより具体的に説明ができた。今後も新たな仕組み作りの際はご協力いただきたい」と語った。「導入時から様々な点で深く関わっていただいている。今後も運用面、活用面において、引き続き良い関係で、変わらぬご協力とご支援をお願いしたい」と石川氏が続けた。

関連動画

テレビを利用した自治体情報の配信 事例紹介 北海道むかわ町様


INTERVIEW
総務財政課 課長 石川 英毅 様
穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主幹 伏木 允一 様
穂別総合支所 企画町民課 企画管理グループ 主査 原口 毅 様
PROFILE
北海道むかわ町
(本庁)〒054-8660 北海道勇払郡むかわ町美幸2丁目88番地
(穂別総合支所)〒054-0211 北海道勇払郡むかわ町穂別2番地1

※2024年1月時点の情報です。